会長声明・意見

2018年度(平成30年度)司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明

2018年(平成30年)7月24日
山口県弁護士会 会長 白石資朗

1、当会は、2017年(平成29年)7月25日、会長声明をもって法曹志願者の減少を指摘するとともに、司法試験合格者数の目安(法曹養成制度制度改革推進会議の中間とりまとめにおいて示されたところによると1500人程度)にとらわれることなく司法試験合格判定が厳正になされるよう求めた。

2、2016年度(平成28年度)の司法試験出願者数は7730人であり、司法試験合格者数は1583人であった。2017年度(平成29年度)の司法試験出願者数は6716人であり、2016年度(平成28年度)と比べて1014人が減少したが、司法試験合格者数は1543人であって1500人以上の合格者数が維持された。
 そして、2018年度(平成30年度)の司法試験出願者数は5811人であって、2017年度(平成29年度)の6716人と比べて、さらに905人が減少した。
 このように、法曹志願者が急減している状況に歯止めがかかっていない。

3、上述のとおり法曹養成制度制度改革推進会議の中間とりまとめは司法試験合格
者数を1500人程度とした。ただ、同時に、この合格者数の目安は「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでない」とも決定したものである。司法は国民の権利義務や社会正義に深く関わるものであり、法曹は、その司法を担うものであるから、上記のとりまとめにおいても「法曹の質の確保」が重視されていることは、当然のことである。

4、法曹志願者が急減している現状において、仮に1500人程度の合格者数にこだわって合格ラインが引き下げられるようなことがあれば、司法試験制度に期待される選抜機能が大きく損なわれ、合格者の質を制度的に担保できないことが危惧される。司法試験の合格判定にあたっては、合格者数の確保のみが優先されるべきではなく、法曹の質の維持・向上という必須の要請を踏まえ、より一層厳正に行われなければならないのである。
 したがって、当会は、2018年度(平成30年度)司法試験の合格判定にあたっても、厳正な判定が行われることを求める。
以上