会長声明・意見

2017年度(平成29年度)司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明

2017年(平成29年)7月25日
山口県弁護士会 会長 田畑元久
法曹志願者数が激減している。
 具体的にみると、法科大学院志願者数は、平成29年度は8159人であって、平成28年度と比べて119人減少し、ピーク時(平成16年度、7万2800人)と比べると6万4641人も減少した。また、司法試験出願者数は、平成29年度は6716人であって、平成28年度と比べて1014人減少し、同様にピーク時(平成23年度、1万1891人)と比べると5176人も減少した。
 このように法曹志願者数が減少しているなかで、当会は、今年度の司法試験合格者数を注視している。
 平成27年6月30日、法曹養成制度改革推進会議は、「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ)」において、司法試験の合格者数を年間1500人程度は輩出すべきとする方針を決定したが、同時に、「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでない」とも決定した。司法は国民の権利義務や社会正義に深く関わるものであり、法曹は、その司法を担うものであるから、上記取りまとめにおいても「法曹の質の確保」が重視されていることは、当然である。
 平成28年度の司法試験合格者数は1583人であった。
 上述のとおり、平成28年度と比べて、平成29年度の司法試験出願者数が1014人も減少しているのだから、平成29年度の司法試験合格者数は1583人を大幅に下回り、1500人に達しないはずである。司法試験出願者数が減少すれば、それに応じて、合格ラインに達する人数も減少するはずだからである。
 万が一にも、「1500人」という合格者数にこだわるあまり、合格ラインが引き下げるようなことがあってはならない。そのようなことになれば「法曹の質」は確保できない。
 以上から、当会は、平成29年度司法試験の合格判定について、「1500人」という数字にとらわれることなく、司法を担う法曹の質の確保という要請をふまえた厳正な判定が行われることを求める。